山の用語集

【あ~花が綺麗だね】
 疲れてきて休憩したいのだけれども、中々言い出せずにいる時に、ふっと立ち止まって発してしまう言葉、その場合、相手に悟られてはいけない。
 例(あ~あの山が見えるね。 あ~これが‥花だね。)

【頭(あたま)】
 沢の源頭に聳え立つ小さな峰、または枝尾根が主稜線とぶつかる処で隆起が顕著に見られる場所。
何々山と呼ぶような処じゃ無いような場所。(カシラと呼ぶ地域もあり)

【アイススクリュー】
 硬い雪(氷化した雪)や氷に打ち込む螺旋状になった金属製の支点。

【アイスフォール】
 氷河が破壊された部分。(アイスフォール帯)

【アタック】
 攻撃。特に、頂上や悪場への攻撃時に使用する。

【アックス】
 雪上や氷河の上を行動するための道具、杖の部分と尖った部分があり、雪面に差し込んだり、引っ掛けたりする、登行補助具。(ドイツ語でピッケル)

【アプローチ】
 登山道又は登り口、沢では入渓点までの、登山や沢登りを始める前段階のルートや方法をいう場合が多い。  

【あぶみ】
 足掛かりが無いときに使用する、テープ等で作った縄梯子。

【アプザイレン】
 懸垂下降(けんすいかこう)の意。

【アルバイト】
 語源は働くという意味だが、山では登山に使われる労力やその労力を使う時間を意味する。
例「頂上まであと2時間のアルバイトだ!」

【アルパインスタイル】
 自分で自分の荷を担ぎ、サポートを受けず、固定ロープ等も使わない、登山本来のもっともシンプルな登山方法。

【アルプス】
 スイス、フランス、イタリアの屋根。ヨーロッパ中南部の山脈を指す呼び方だが、ヨーロッパ以外でも山脈状に連なる高山の事をアルプスと呼ぶことがある。(北アルプス、南アルプス等)

【アンザイレン】
 ザイルパートナーどうしが、互いにザイルを結び合う事。

【鞍部】
 尾根が鞍上に低くなった場所。コルと同意。

【一本立てる】
 登山中の休憩の事、ボッカが休憩のときに背負子の下に持っていた杖を立てて、立ったまま休憩したことから。
(重い荷物を運ぶので荷物を降ろして休憩し又、重荷を引き上げて背負うよりは疲れない)
例「そろそろ一本立てるか?」 「一本行っとく?」

【右岸、左岸】
 上流から下流を見たとき右側を右岸、左側を左岸と呼ぶ。

【浮石】
 岩壁や登山道などでの不安定な状態の石。

【F(えふ)】
 滝のFallの頭文字で滝を意味する、
固有名詞の無い滝などで沢の下流から順番にF1、F2と番号をつけて呼ぶ。

【8環(エイトカン)】
 8の字状になった、下降器。

【堰堤】
 土砂の下流への流出を防ぐ為に人工的に作られた障害物。

【尾根】
 谷と谷、沢と沢の間の山地突起部の連続した場所。

【お花畑に行ってきます】
 女性が用をしに行くときに使う隠語。

【オーバーハング】
 岩壁の傾斜が垂直以上になり、覆い被さっている状態。

【カール】
 山腹を丸く抉り取ったような氷河地形の事、短い氷河が殆ど動かずに留まっているような場合に形成される。

【壁】
 切り立った岩壁の事を言う。

【釜】
 沢では滝壷の事をさす。

【カヤト】
 一面にカヤ(ススキ)が生えている場所。

【枯れ沢、枯れ滝】
 通常は水が流れていない沢や滝だが雨の後は水が有る事が多い。鉄砲水に注意。

【ガレ場、ザレ場】
 崩壊地の事。

【からむ】
 尾根をたどらずに山腹を進む事。

【カラミ】
 空身のこと、単独で岩壁に取り付く場合、まず装備品を着けずに岩壁などに取り付きルートを確保してから、装備品を持ち上げたりする、単純に手ぶらの事を指す場合もある。

【川原】(河原)
 川の両岸の平坦な場所。

【涸沢】
 通常、水の流れていない沢。鉄砲水には十分注意が必要。

【涸滝】(涸棚)
 通常、水の流れていない滝。

【ガリー】
 山の側面を山頂や、山稜に向って延びる急峻な縦溝で、チムニーよりは幅が広い。
(クーロワール、リンネと同義語)

【ガレ】
 山腹が崩壊し崩れた石が不安定に積み重なった急斜面。
 
【カンテ】
 リッジよりも小さい岩の凸角部。

【キジ撃ち】
 大便をしに行く事。現在は携帯トイレを使用。

【キレット】
 狭く鋭く切り立った稜線上のV字状に切れ込んだ地形の事、漢字では「切戸」「切処」があてられる。

【逆層】
 岩の節理の節目が下向きなもので、ホールドがしにくい。

 

【ギンギン】

 ビールが冷えていること。
 
【草付(くさつき)】
 沢の源頭や流れの側面にある、丈の短い草地。滑りやすい。

【窪】
 樋の様に小さな沢、樋状でない小さな沢やルンゼを意味する事もある。

【グリセード】
 雪上を登山靴で滑る高等雪上技術。

【クライミングロープ】
 ザイルと同義語

【クラック】
 岩壁に走る裂け目、チムニーよりは細く、指がやっと入る様なものまでを言う。

【クランポン】
 アイゼンの英語読み。

【クレバス】
 氷河に出来た裂け目、日本では雪渓に出来た裂け目もクレバスと言う。

【クーロワール】
 ガリーと同義語

【ケルン】
 迷い易い尾根や川原等に道標として積まれた石塔で、先人たちが親切で作ってくれたもの。

【獣道】(けものみち)
 獣の生活道路。ときに使わせていただく。

【ゴーロ】
 石がゴロゴロしている場所。

【ゴボウ】
 上から垂らしたロープや鎖などを両手でしっかりつかみ、力任せに登ること。

【ゴルジュ】
 両側の岩壁が狭まった細い谷筋。 廊下と同義語。

【コル】
 稜線上の低く窪んだ地形で、そこを横断する山道がある場合は「峠」と呼ぶ、英語では「サドル」、ドイツ語ではザッテル」、日本のほかの言い方で「乗越し」「鞍部」「タワ」「タワミ」 「クビレ」などが有り、主に地名として使われている。

【懸垂下降】
 一般的に8環を用いて行い、沢では頻繁に使用する下降技術。

【懸垂氷河】
 急な崖にかかる氷河、その末端は重力により絶えず崩壊している。

【サイドモレーン】
 氷河の側面に取り残された岩屑や土砂の堆積。

【ザイル】
 登攀に使うクライミングロープの事。

【左岸】
 上流から下流を見たとき右側を右岸、左側を左岸と呼ぶ。

【3点支持】(3点確保)
 クライミングの基本技術、両手両足の中で、動かしていいのはそのうちの1つだけ、他の3点で支持をする事。

【三角点】
 三角点測量を行う為の基準点。

【シリセード】
 雪上を尻で滑り降りる低級な雪上技術、丈夫なビニール袋が有るとスピードが出やすい、が、稀にビニール無しでもスピードが付きすぎて制御不能になる事もある。

【シュルント】
 語源はドイツ語のベルクシュルントで氷河上に出来るクレバス(フランス語)と同じ意味。岩と雪渓の間にできた隙間を主に指す。

【シュリンゲ】(スリング)
 ザイルを短く切って、ループ状にした物。

【シャワー】
 滝からの飛沫や、水流の事。
シャワークライミングとはシャワーを浴びながらの直登の事。

【順層】
 岩の節理の節目が水平よりも上を向いているもの。

【支流、枝沢】
 本流に流入する流れの事、その支流にも支流が有り枝のようになっているから、細かい沢をそう呼ぶ。

【人工登攀】
 人工的な手掛かり、足掛かりを積極的に使用し登攀する形態。

【スタンス】
 ホールドより広い足場で、確保動作に使える程度のしっかりしたものを言う。

【スノーブリッジ】
 雪渓が溶けて崩壊寸前にみせるアーチ状の橋、崩壊寸前のため当然もろい。

【スラブ】
 滑りそうな一枚岩や凹凸の少ない岩場の斜面の事。

【瀬】
 流れが速く、水深が浅い場所。

【雪田】
高山の壁面に張り付いている殆ど氷化した雪。

【雪渓】
 沢を埋め尽くす残雪。

【セミになる】
 岩壁や滝、またはトラバース中等に、ホールドや足場の関係で進退窮まり二進も三進も行かない状態で張り付いている状態の事を言う。

【雪庇(せっぴ)】
 稜線の風下側に屋根の庇のように張り出した雪の状態で、雪と風により成長していくが風下側は殆ど空洞のため自然崩壊する。雪崩発生のひとつの要因でもある。

見た目にはわかりづらいので、雪山では注意して稜線の風上側を歩く事!

【遡行】
 沢や谷を下流から上流へ歩く事。

【遡行図】
 沢を遡行する際に参考にする地形図、先人たちが書き記した、とてもためになる地形図。

【セラック】
 氷河上に出来た氷のブロック。氷塔。

【体感温度】
 実際の身体に感じる温度。高度100メートル上がるにつき0.6℃下がり、風速1m/sにつき1℃下がる。

【滝】
 垂直に落下するのを直瀑、傾斜が有るのは斜瀑、二股に別れているのを二条の滝、連続しているのを連瀑等という。

【高巻き】
 危険な場所や通過が困難な場所を迂回する事、巻くとも言う。沢の滝など。
 
【ツボ足】
 スキー、アイゼンやカンジキを着けずに雪上を登降する事。

 

【チビチビ】

 テントなどでアルコールをゆっくり飲むこと。

【チムニー】
 岩壁中に縦に入る割れ目で、体が入るくらいの幅からやや幅広のものをいう、ルンゼよりは狭い。

【チョックストーン】
 急峻な際の割れ目に挟まった岩をいう、沢の場合滝の落ち口に挟まっているものをチョックストーン滝と呼ぶ。

【ツメ】
 詰まるから転じたもので、沢の最奥部。

【低体温症】
 風雪や気温の低下により、体温が下がってしまう症状。一般的には中心体温(身体の内部)が35度以下に下がることを低体温症と言い、最悪の場合凍死する。

【ディエードル】
 本を開いて立てた様な形態の岩壁。

【テラス】
 斜面や岩壁の途中の棚状の小平坦地。

【出合】
 2つの沢が合流する所。土砂崩れや鉄砲水に注意。

【凍傷】
 外気の表面に露出したり、薄い防寒着で冷えた身体の一部が凍りつく事。

【トップ】
 パーティーで最初に難関を突破する役目の人、切り込み隊長みたいなもの。

【渡渉】
 水流を横切って対岸に渡る事。

【瀞(とろ)】
 渓流が止まっているように緩やかに流れる淵。

【トラバース】
 斜面や岩壁の中途を横断する事、またはその行為。

【ナイフエッジ】
 ナイフの刃の様に痩せた尾根。

【中州】
 川の中に堆積物によって出来た島。テントは張らないこと。増水時には非常に危険。

【ナメ】
 流水が滑らかな一枚岩(スラブ岩)の上を流れているところをナメまたはナメ床と呼ぶ、
ある程度の傾斜があるものをナメ滝。

【抜石】
 岩壁などで手掛かりにした石が簡単に抜ける事。

【乗越し】
 コルや鞍部と同意語。

【パーティー】
 一緒に行動するグループ。

【ハーケン】
 岩の割れ目に打ち込んで確保や支点に使用する金属釘。

【ハーネス】
 ロープと連結できるように安全環付カラビナが取り付けられるようになっている、安全ベルト。

【バケツ】
 雪の斜面を掘ったり、削ったりして作った平らなスペース、両足分のスペースから数人が座れる位のスペースまでさしていう。

【バットレス】
 建築用語の控えの壁から転じたもの、壁、胸壁、屹立した岩壁。
(北岳バットレスが有名)

【バンド】
 岩壁を横に走る、ながい帯状の棚。

【ハンガーノック現象】
 空腹の為に動けなくなる事。

【ピーク】
 頂上、峰。

【ピトン】
 本来はボルトもピトンに入るが、日本ではハーケンと同意味で使用されている。

【ピストン】
 往復ルートの事。

【ピッチ】
 同じ動作を繰り返す回数、または速度。
例(久しぶりなのでピッチが上がらないなぁ~)

【ピッケル】
 登山用の杖の一種。

【ヒドンクレバス】
 降雪によって表面が隠された氷河上の割れ目。

【ピナクル】
 岩稜にある、とがった岩の突起。

【ビバーク】
 山や原野で寝具などを使わないで野宿する事、正確には計画的露営をフォーカストビバーク、緊急露営をフォーストビバークと言う。

【ビレイ】
 確保の意味で、通常ザイルを使用して滑落しないようにする事、その行為。

【伏流】
 水の流れが一時的に地下に入って沢床が乾いている状態。

【二俣】
 ほぼ同等な流れの出合う場所で、下流から見て右が右俣、左が左俣、股と表すところも有るとか。

【淵】
 流水が深く淀んでいる処、瀬の反対。

【踏跡】
 登山者、山仕事の方々の通った跡、大体の場合不明瞭、獣道と間違え易い。

【ブロッケン現象】
 薄い雲や霧に包まれた稜線や山頂にいる時に、太陽と反対側の雲や霧がスクリーンの代わりになり、人の影とそれを囲む虹の輪が映し出される気象現象。
 
【フリクション】
 体と岩の間に生じる摩擦。

【フレーク】
 岩壁の一部が魚の鱗の様に薄い岩片となって浮いた岩。

【V字峡】(V字谷)
 沢、谷の両岸の山肌がV字型を呈しているもの。

【ブッシュ】
 藪、低潅木帯。

【プラトー】
 台地。

【へつる】
 岩壁をしがみつく様な格好で横断する事。

【ヘッドウォール】
 ルートの最終部分に立ちふさがる岩。

【ヘッドランプ】
 頭に装着する電灯、頭の動きに光が付いてくるので非常に便利。

【ペミカン】
 伝統ある登山用の保存食。

最近は皆レトルトやフリーズドライの食品を購入するため、近年は自らペミカンを作る事は余りしない。

【ヘルメット】
 滑落や落石の危険からある程度頭を守ってくれる、安全帽の事。

【ベルクシュルント】
 山体の氷(雪)と氷河の境目に出来る亀裂。

【ベルグラ】
 岩に張り付いた薄い氷の事で、透明なものも白いのも黒いのも有る、アイゼンが効かないので要注意。

【ボッカ】
 荷物を背負って運ぶのを生業としている人、登山用語では重荷を背負うこと自体もボッカと呼ぶ。

【ホールド】
 岩登り、沢登り用語で、岩壁の手かがりの事。

【ボルダー】
 氷河の堆石や氾濫した河川の跡などに取り残された岩塊。

【ボルト】
 リス(割れ目)の無いときにハーケンの代わりに岩壁に穴をあけて埋め込み、支点に用いるもの。

【巻き】
 高巻きと同義語

【ミシンを踏む】
 岩登りのときに、次のスタンスをどこに置こうかと迷いながら足がフラフラしている状態。

【ミッテル】
 3人以上で登る時、トップに続いて登る人で当然ラストは別の人(ミドルの意味)。

【3つ道具】
 ハーケン、カラビナ、ハンマーの3種を言う。

【峰】
 山の頂の尖った処、ピークと同義語。

【モレーン】
 氷河に運ばれてきて堆積した岩石や土砂。

【ランニングビレイ】
 登攀中に落ちても落下距離が少なくて済むように設ける中間支点。

【リス】
 ハーケンなどを打ち込む岩上の極細い割れ目。

【リッジ】
 岩尾根になった稜線の事。

【稜線】
 山の峰から峰へ続く線、尾根は同義語。

【リンネ】
 山の側面を山頂や、山稜に向って延びる急峻な縦溝で、チムニーよりは幅が広い。
(クーロワール、ガリーと同義語)

【ルンゼ】
 急峻な岩壁に食い込んだ岩溝の事、ガリーやクーロワールと同意。

【ルートファインディング】
 岩の状態や藪の濃さ、周囲の地形や状況を見極め、総合的判断で進むべきルートを選択すること。登山技術の上では、とても大切。

【藪漕ぎ】
 密度の濃い藪(ブッシュ)を強引に押し分けて進む事。

【ワカン】
 日本古来の形のカンジキのこと、スノーシューとは別物。

【ラク】
 落石の事、「ラクッ!」って言われたら、すかさず上を見て回避姿勢をとらなければならない。また上で自分が落石を起こしてしまったり、発見したら大声で下の人に「ラク!」と叫ぼう!

【ラスト】
 殿(しんがり)の事、パーティーでリーダーかサブリーダーが担う役割。

【廊下】
 水の浸食によって出来た両岸の切り立った渓谷の事。(ゴルジュと同義語)

【ロックバンド】
 山の斜面を横切る岩壁帯。

 

【忘れ物はないか】

 休憩して出発するときに、だれかから出る言葉。

そして確認をするが、それでも忘れやすい。ストック、手袋、サングラス類が多い。